障害者の自立の可能性

厚生労働省の理想的な障害福祉計画によれば、障害者に労働を斡旋することによって、就労者が増え、その結果として施設入所者が減り、現在福祉工場で働いている人の10倍以上の人たちが、数年後には雇用型の就労者となるという見通しとなっています。そして、働く意欲と能力のある障害者が企業などで働けるよう福祉側から支援する、と法律で明言しているわけです。

 

実際のところ、こんな未来はなかなか実現しないでしょう。確かに障害者に自立することの出来る収入があれば、自身が受けている福祉サービスの対価も払えますし、社会人として税金を払うことも可能となるかも知れません。しかし、実際に就労している障害者は、時給100円にも満たないようなところでの仕事がほとんどなのです。

 

また、企業には一定割合の障害者を雇用する義務があるはずなのですが、実際にはその目標には程遠いというのが現状です。この理想と現実の間をどのようにして埋めていくのか、今のところでは画期的な方法は見つかっていないようです。

 

そして、どんなに働きたくても、働けない障害者というものも存在します。そういった人の自立とは何なのでしょうか。おそらくは先ず、その家族を支えることが先決なのかも知れません。家族に障害者がいることが、決して不幸ではないと思えるような改正を期待したいところです。